ケースを注文する

 という訳で先日見つけた8,078円のケースを注文した。届くのが来月になるのは完全なる誤算だったが仕方無い。

 本当は他に気に入ったケースは色々あったのだが、それだとやはりヴァイオリン本体よりもケースの方が高くなるという事態に陥るため諦めた。

 

 後は楽器の修理が終わるのを待つばかりである。

ケースを探そう

 とりあえず修理が終わるのが1月末頃の予定なので、楽器ケースを用意しておかねばならない。

 先日弦楽器専門店に行った際、楽器を風呂敷に包んでいたためケースをどうするか聞かれたのだが、しかし店内にあるのは何万もするようなしっかりしたものばかりで楽器と釣り合わないような気がしたため、お店で購入せずにネットで安いものを探すことにした。


 まずはヤフオクを覗いてみたが、海外発送が多くかえって高くつきそうだったので止める。

 次にAmazonを見ると、10万円以上するものから3,000円以下のものまで様々な価格帯のものが揃っている。

 1番安価なものは写真で見た限りでは表面が化繊のようだ。どちらかといえばカーボン等のつるつるとした素材のものが欲しかったので、更に探すと8,078円のケースを見つけた。


https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B07QSXWHBR/ref=ox_sc_act_image_1?smid=A1NGDCTQME5LTQ&psc=1


 なかなか良さそうだが……もう少し検討してみよう。

 


 ヴァイオリンのケースは、素材、形、色等実に多様性に富んでいるが、「良いな」と思ったものはやはり高価だなぁと感じた。

 

弦楽器専門店に行ってきた

 風呂敷に包んだヴァイオリンを抱えお店に入った途端、いかにも高価そうな楽器が並んでいるのを目の当たりにし、こんなガラクタ(遺品です)を見てもらっても大丈夫なのか?という不安を抱きつつ店員さんに話しかける。

「あの、遺品整理をしていたらバイオリンが出てきまして。多分安いものだとは思うのですが弾けるようになるのか見てもらおうと思って来ました。」

と聞かれてもいないのに捲し立てる私。

 店員さんは若干引き気味ながら、こんな怪しげな客に対し笑顔で応対してくださった。ありがたいことである。

 

 その後リペアマンのお兄さんが点検のため奥に引っ込み、その間出されたローズヒップティー(お洒落な店は飲み物もお洒落なのだ)を飲んでいたが、針の筵に座っている気分も味わう。


 暫くしてお兄さんが戻ってきて説明を開始した。

「まずは弦の交換ですね。」

はい。

「駒が無いので付けます。」

はい。

「魂柱も無いので付けます。」

はい。

「ペグも交換した方がいいと思います。」

なぬ!?それは想定外。

「あとはペグの位置があまり良くないので、一旦穴を塞いで開け直した方がいいとは思いますが、お金がかかるので買った方が……。」

ですよね……。

 念のためこのヴァイオリンは楽器としてどうなのか聞いてみたところ、やっぱりかなり安いもので雑な作りをしているらしい。特に指板やペグは本来黒檀でできているらしいのだが、これは白木に黒く塗装してあることからも分かるのだそうだ。弾けるようには直せるが後々不具合が生じるのではないかとのことだった。

 お兄さん曰く、

「修理にどこまでお金をかけるかですが、どれだけこの楽器に思い入れがあるか、ですね。」

ですよね……。

 


 結局、最低限弾けるようにしてもらうため弦を張ってもらうのと駒と魂柱の設置をお願いし、楽器を預けてきた。

 遺品だし、やはり直したいよね。

 

 ちなみに弓もやはり安物だった。しかも何故か横に反っているらしく直すとかえって高くつくため買った方が良いのではとのことだったので廃棄することにし、その代わりに1番安い弓を注文してきた。いいよね叔父さん。

叔父の遺品の中に『それ』はあった。

 それはこれ、『楽器の女王』ヴァイオリンである。


f:id:Shiki-Kagami:20210108180709j:plain


 叔父の家の、使用されていなかったシンクに無造作に突っ込まれていたのだ。


 私はヴァイオリンのことは良く分からないが、このような扱いからして価値ある品という訳でも無いようだ。

 叔父はアンティークが趣味だったが、楽器が趣味だとは聞いたことが無い。恐らく蚤の市のような場所で二束三文で売られていたものを気まぐれで購入したのだろう。

 何故なら、叔父の家には他にも1万円の値札シールの貼られたYAMAHAのギターやら古いシンセサイザーやらが置かれていたからだ。


 それはさておいてこのヴァイオリン、素人目にも酷い状態だ。

 まずは駒が無い、弦もべろべろとしている。

 f字孔から中を覗いてみると、ラベルは貼られておらず、埃が入り込んでいる。


 そして何よりも魂柱が……無い!


 弓も毛が纏まりの無い髪のようになっている。


 購入時に既にこの状態だったのか、この楽器をどのようにするつもりだったのか。今となっては知る術も無いが、私はこの叔父の遺品を蘇らせることに決めたのである。


 まずはネットで検索したが、この『ガラクタ』を弾けるまでにするには結構な金額がかかるようだ。それならばSUZUKIの新作を購入した方が早いだろうというツッコミは無しである。それにあまり安い楽器だと修理を断られることもあるらしく不安になったが、とりあえず楽器屋さんに見てもらおうと思い、許可を得て貰って帰ることにした……ケースが見当たらず、やむなく紙袋に入れて。